37「RLL IN DA HOUSE!!!」

remix (リミックス) 2006年 09月号 [雑誌]

僕達がやってるRLLが先月末発売の音楽誌「remix」9月号に掲載されてます! そろそろ店頭から見当たらなくなりそうな時期なんで、転載とかしちゃいます!

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ニート・フリーター・マルチチュード(remix2006.9/p117)


Tシャツ販売もする詩的テロリスト
RLL(Radical Left Laughter)
文:一色こうき

 「wearable idea」(着る思想)というコンセプトで一癖も、二癖もあるデザインのTシャツを、頓知と、サービス精神と、思想フェティシズムでもって日夜、生産し、販売し、街に「アナーキーな記号をBomb」することを狙った自称“詩的テロリスト”―ラジカル・レフト・ラフター、通称RLL。けしてムズかしい奴らではない。むしろ女の子にたいする誠心誠意の態度/眼差しを見ていると、普通の男の子、またはモテたい文科系男子のよくある手管を、ちょっとひねって、知的に洗練させて、おしゃれに加工するとこうなるだろうって実は判りやすい人たちなのです。それは、例えばDJを倣い始めるときの男子の心境に近い。そして、RLLにとっての成果物であるTシャツは、DJ時のセオ・パリッッシュなみの知的体力と、想像力と、ユーモアでもって、爆笑と、快感を与えてくれる。

 RLLのメンバーは3名。インテリパンク、∞+∞=∞、ハーポ部長……?????……。って改めて紹介しようとすると、初耳の人にはまずこの名前からして度肝を抜かれることと思う。サクッ、と3名の役割は「インテリパンク=ラジカル(R)」「∞+∞=∞=レフト(L)」「ハーポ部長=ラフター(L)」。それで、RLL! 彼らの音楽の趣味の話をしよう。一言でいってしまうと、インテリパンク氏は、ロック、特にパンク。∞+∞=∞氏は、サウンド・デモ。ハーポ部長氏はレゲエで、もちろんそれぞれ他の音楽への許容範囲も広いが、とくにいま述べたジャンルへの傾倒は深い。パーティ・ピープルのように毎週末、ダブやハウスのパーティに出掛けるハーポ部長。サウンド・デモでDJをやってしまう∞+∞=∞。恰好からパンクスを滲ませるインテリパンク。それぞれ音の現場へのコミットも過熱気味で、だから、彼らはTシャツの販売の場を、都内クラブ・パーティーや、野外レイブに求めたりする。因みに、まもなく公開予定のWEBでもTシャツの発注ができるので、興味のある方はここを覗いていただきたい。→RLLホームページ・http://www.rll.jp/
 某国立大学での講演、カルチュラル・スタディーズの国際シンポジウム・〈カルチュラル・タイフーン〉でのプレゼンと、その活躍は、クラブやレイブに留まらず、エスタブリッシュメントな文化活動へも広がっている。さて、そんな彼らのアイデアが、Tシャツとしてどのように具現化されデザインされているのだろうか。
 そこにプリントされるのは、まず人物として、大杉栄、C.L.R.ジェームズ、ダダカン、ハーポ・マルクスフランツ・ファノン……と判る人は思わずニヤっと口許を弛めてしまうラインアップ。また、斬新なのは、「概念」がプリントされている点で、T.A.Z(一時的自律ゾーン)、スペクタクル社会、トライブ、リゾーム、プロ・シチュ、サバルタン……と現代思想、カルスタ等の概念が、ポップでキッチュでオサレなデザインとして可視化されている。また、アレスト・イズ・クライム、リメンバー・シアトル1999、ヤマ・アッタク・トゥ・アタック等、政治的な内容を含むものもある。もし少しでも興味が沸いたなら、上記ホームページ、またはミクシーで“RLL”と検索してみてほしい。
 RLLのTシャツは、20世紀対抗文化の多様性を再確認させてくれる。文化や音楽に“政治性”を全く問わなくなった昨今、じつはそのような状況は文化/音楽の一側面でしかないのだ、ということを証左してくれている。もちろん、政治性が皆無でも宜しい。ただ、現況の日本で“政治的”であるということは、管理権力の微細な暴力に自覚的であるということ。逆にいえば、“政治的”な側面が皆無である、ということは、この微細な暴力に無自覚、さらにいえば権力に絡め捕られている可能性すらあるのだ、ということはハッキリといっておきたい。RLLは、このような潜在する管理権力の暴力を可視化することに長けている。そのTシャツを、その思想的背景とともに纏って、ストリートに飛び出そう。このことの意味を噛み締めて知ることができる。

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ではシンポジウムへいってきます。