200songs-161

quawabe2005-04-09

What'd I Say / Ray Charles / '59

先頃伝記映画も公開されたレイ・チャールズ。これは彼にしては珍しい(?)ロックンロォルの名曲。ソウルというジャンル創成に貢献した彼ですが、そのバックボーンはブルーズ/ゴスペル/ジャズ/カントリー等々非常に多彩。リズム&ブルースすら彼が形を整えたと言ってもいいかもしれない。
当時リズム&ブルースとロックンロォルはジャンルとしての境目がはっきりはしていなかった。ここは感覚的な問題で、ロックな触感とロールする質感を合わせ持つならばリズム&ブルースの曲であっても(カントリー&ウェスタンであっても)ロックンロォルであったのだ。注意すべきはロック/ロールとスウィングとは別物ということ。スウィングはロックンロォルが時代を制するまでポップミュージックの主流であった感覚。それまではスウィング感を持ったリズム&ブルースも当然多数存在していた。エイトのリズムと単純なブルースコードがロックンロォル感を与えるが定式ではない。当時の50年代中頃まで、ミュージシャンがより刺激的な音を求めて、スウィングから抜け出し発見した新しい感覚がロックンロォルであったのだ。
で、彼レイ・チャールズ。40年代後半からレコーディングキャリアをスタートさせた彼は独自のミクスチャーとしてリズム&ブルースにゴスペルなどを混ぜた斬新な音を作り出していた。彼が29歳の時に台頭してきたロックンロォル感覚を意識して書いたのがこの曲。名プロデューサーのトム・ダウトがマイク2本を立て3テイクのライブレコーディングで仕上げた。そしてトム・ダウトの大胆なエディット(8分以上の原曲をジュークボックスサイズにパートI/IIとして分けたりイントロに間奏を流用したり)が効を奏し、レイ・チャールズ初のミリオンセラーになったのだった。ライブではコールアンドレスポンスに長尺ファンクな演奏。カヴァ―もビートルズ(ロックンロール)からハウンド・ドック・テイラー(ブルーズ)、ジミー・スミス(ジャズ)からナンシー・シナトラ(ポップス)、チェンバーズ・ブラザーズ(ファンク)からドン・ガードナー&ディー・ディー・フォード(ソウル)までジャンルをまたいで愛されている。
ASIN:B00005OOEU