200songs-152

quawabe2005-01-09

Maybelline / Chuck Berry /'55

やっぱりロックンロォルの50周年を祝いたいと思いつつ3ヶ月ぶりに再開。
生き神様として未だ影響力を持つ彼、チャック・ベリー。黒人の彼がお気楽な50年代の白人ティーンエイジャーのライフスタイルを詞にしてヒットしてから、ロックンロォルという若者のポップミュージックの歴史が始まる。ロックンロォルのイデオロギーは彼とエルヴィスが作ったと言ってもよい。女の子と車とちょっとした反抗を言葉にし、黒人音楽的なエイトのベードラを強く打ったビートをスピードを上げて(比喩的には白人的な)甲高い喧噪的ギターで早口でまくしたてる。黒人音楽の猥雑さを白人の子弟用にギターミュージックに翻案して自作自演したというのも彼。リビドーに従った戦後ベビーブーマーの為のフォーディズム大量消費時代の大衆音楽“Rock And Roll Music”のスタイルの規定を行なった功績は計り知れない。
このデビューファーストレコーディングヒットソングも当然誰もが耳にしたことのある曲。しかし他のヒット曲、例えば“ロールオーバーべ―トーベン”“ジョニーBグッド”等に比べ極端にカヴァ―が少ない。彼の特徴であるギターの色が薄く、名人芸的いなたい節回しとバックビートスタイルの味だけで淡々と綴られるからであろうか。つまりそれだけ普遍的でありオリジナルなカヴァ―が難しい曲だということである。因に伝説的ラジオDJラン・フリードが、白人に売るのと引き換えに作曲クレジットで入っている。人種差別に対してしたたかな戦略を持った彼らしい逸話である。
ASIN:B00005L91R