僕が想う近未来---2

quawabe2004-10-02

2つのアヴァンギャルドの時代の間は40年弱。であるから、周期としてはそろそろであると仮想する。

根拠は9.11以後の世界しかないが、しかしそれで十分なのではないか?
カンヌの“華氏911”が象徴している様に、アートの政治化が始まっているのは、確かな訳で。

芸術や文化の爛熟は、太平の世でノンシャランと同時見つかる個人の現象で起こる訳ではなく、芸術家のビジョンと大衆の世界意識の波長があった状態に起こる。芸術家の作品は世界観を表すものだが、外を向いた人々に届くのは、小児的な内世界(アウトサイダーアート)ではなく、作家が実世界に肉薄して自己存在を問うことになる世界関係の表出にあるのだ。
70〜90年代のアートにある経済的余裕とそこから来る分節化(ポストモダン)された世界観には、細分化され趣味性に陥った万人向けではないワビサビでしかなかったわけで。であるから、大衆に必要とされなかったと言ってもいい。
しかし僕自身は70〜2000年の基本的な大衆的価値観も懐疑している。それは花森安治の意に反した消費主義とドゥボールが嘲笑する見世物主義なのであって、永続可能な営みとはかけ離れた生き方だろう。

昨今急に実質的な作家や人々が立ち現れてきたとは思わない。しかし世界に向かう思考へ、風向きが変わったことを示す事例や印象を語ることは易しい。そして全ての切っ掛けが9.11であると言い切ってもいいだろう。