高野文子“黄色い本”

quawabe2004-09-10

雨宿りのつもりで入ったブックオフで思わず購入。
80年代のニューウェイブマンガの中で恐らく唯一失速せずに生き残っている著者。
バブルに砕かれなかったのは“ルキさん”をHANAKOで連載しつつ、そのエンディングであの様なマガジンハウス的(バブル的)な生き方の俯瞰と脱臼を見せたことでも、わけは納得。今で言う“スローライフ”をルキさんは当時から実践している。
この表題作はコミュニズムの蒼さとコミュニティーの強さを通して普遍的な想いを浮かび上がらせている。些細な日常性がかえって時代をすっとばす。経験でなく世界に想い馳せるこの人間的な生活。最大の讃辞を送りたい。