KISSxxxx

高校時代バウハウス聴きながら愛読していたマンガ、楠本まき作『KISSxxxx』。世間一般ではゴスの代名詞的少女マンガと言われている、個人的には恥部と一時期思っていた。でも10代に取り違えたナルシズムとアホみたいな自意識に苛まれつつ頽廃と宿命を一身に背負い世界の孤独を勝手に自演して悦に浸るのは、健全な行為ではないかと考える、そこから踵を返す時間と体力があるのだから。であるから太宰も朔太郎もタルホも澁澤先生も野バラちゃんも椎名林檎もシスター・オブ・マーシーも4ADもゴスロリもリスカもヴィジュも全肯定。いずれ若さしか持ち合わせていない馬の骨だってことを自覚してそこから帰ってこられるのなら。
人と人が切り結びつつ続く社会で、世界の裏側の行った事の無い国の不幸も知覚出来る理知を備えて、経験では得られない共鳴性を磨き上げて。自分の産まれる前の人間やこれから産まれてくる人間、そして自分が見た事も聞いた事も無い知らない人間について情動を働かせ機微を悟ることが出来る様になれば。考えて感じる大人になれば。
ところで、痛く無い奴っているのか？ 見てみたいものだ。