[music]100songs-053

Through the Never / Metallica / '91

ぶちゃけて言うとメタルはロックンロォルではない。美学としては理解しているつもりだが、賛同出来かねる。クラシカルで精密なアンサンブルで構成し、強く重いアタックだけ深化した結果、黒いノリは排除されグルーヴしなくなった。この方向性はロックかもしれないが、ロールしていない! これでは腰がうきうきしないではないか!! あ、だから頭だけ振るのか。
で、この人達。メタルをより速く激しくしてスラッシュを産み出した張本人。でもそこを様式として極めて王道を開拓した後、テンポを落として行く。メタルとして王道を突き抜けて異端に。もともとスラッシュが異端だったのだからやりたいことをやっただけなのだろう。そもそもUKハードコアからの影響のある西海岸出身メタルってなんだよ。好きにやっていて結果が残って来ただけなのだ。このアルバムは刻まず遅いテンポでミニマルなリフで最小の構成で、以前の彼等のメタル的快楽を目指したのだ。相変わらずジャストなノリは真っ白だがバスドラとリフの隙間が空いた分揺らいで響く。かな切らない吐き出す様な歌がジェイムスの特徴だが、メロディーを強調しない分言葉の打楽器として作用している。珍しい重量感のある白いファンクとして結実したヘヴィーメタル、これはロックンロォルかもしれない。
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