100songs-43

Common People / Pulp / '94

昨日書いたスウェードを、より大衆的でトボケた感じにグレードダウンさせユーモアを加味させたバンド。共にバンド名も素材系(デニムとかフェルトとかいたなぁ)。彼等はゴージャスで官能的なスウェードに対して、読み捨てられる三文小説のようにチープで昼メロのロマンスの様なパルプ。両者は大衆の要求するエロスを違う角度から照射する。この曲は大ブレイクシングル。フロントマンのジャーヴィス・コッカーは黙っていれば華麗でダンディーな英国紳士然と見えるのだが、動き出すと勘違いしたナルなポーズと情けないヘナヘナダンスの強烈なずっこけキャラクター、日本だと近藤正臣に近いだろうか。そんな彼自身が演じてみせるのは、いつか上からラッキーが降ってこないかとぼんやり思う一般人の願望。一夜のアヴァンチュールが朝がきたら醒めてしまう泣き笑いペーソス。しかし幸福の援軍は何処からもやって来ないことを彼自身が身をもって体現する、メディアが必死に煽動する見世物をカリカチュアしたシニカルな視点が介在する。(ウォホールの視点に非常に近い)ステロタイプなスペクタクルの幸せを異化する強烈な皮肉と、そんな普通の人への愛。頑張れソングではなく、リアルな人生をシニカルに眺める為の理知的なポップ、もといロックンロォル。ポップな中の強烈な遣る瀬無さはロックンロォルとしか言い様が無い。

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