私的十盤

今年の10枚。単純に、何回も聴きたくなったアルバム。最高のシングルが数曲であとはクズ曲というアルバム単位で聴けないタイプは敬遠しました。正直iTunesで聴くと新譜として意識しないので、2008年産って分かんないよね。


1.『HIGH GRADE PROJECT 2008』HIDADDY, 遊戯, YOUNG DAIS, D.O, BIGIz'MAFIA, 漢 他

日本語ラップは多分豊作でしたが、おいらのようなマイクリレー好きにはこれかな、他にもあったら教えて下さい。韻踏合組合のHIDADDYが全国の実力派を友情で繋いで競作した企画盤ですが、ハイカロリーで単純にお腹いっぱいになれます。ソロ作で超人的な超個人が一枚を作ると、凡人の自分には重すぎて実は長く何回もは聴けないので。それ故にマイクリレーでスタイルウォーズというヒップホップマナーはホント自分には魅力的です。



2.『帰命頂来相模富士』BRON-K(srom SDP)

ソロなら地味(ドープ)ながらすんばらしいリリシストのコレ。今年はたくさん日本語ラップ傑作ソロアルバムが出ましたが、だいたいが力作でお腹いっぱいになるスケールだったので。このアルバムは13分40分のアナログLPサイズで、リピートしてもう一度聴きたくなるあっさり感が後を引きます。クールで渋いが異常に器用なフロウで追憶の不器用さを赤裸々に綴って、そのバランスも癖になって回数多く聴きました。



3.『POP GROUP PRESENTS KAIKOO PLANET』DJ BAKU,GOTH-TRAD,Skyfish 他

POPGROUP Recordingsからレーベル初のコンピレーションらしい。どうしても本気のBAKUでアルバム一枚は重すぎるしノリ切れない。なので名イベント「邂逅」を軽く描画しました的で、1枚のバラエティーがいいので一時期ヘビーローテーションしてました。日本語ラップからダブステップからカテゴライズ不明なフロアミュージックまで連打。日本の未来は明るいと思わせるクリエイティブが並ぶ。デザイナー的にも嫉妬する↓
http://www.pop-group.net/epr/index.html



4.『TOUCH』Harley & Quin

日本人作で今年一番聴いたダンスミュージック。注目されてたデデ鼠も世界観よかったけれど、それ以上に彼らはおいらの耳に合う編集センスでヤバし。アルバム中の各曲の音色、リズム、楽曲、それらで形づくる時代感の絶妙のセレクトには、上質なユーモアと才気を感じさせる短編小説集を思わせ飽きさせない。いつかのドムスタ祭COSMOでのライブで気になっていて迷わず購入。中心のプログラム(?)の二人に対し、GとBの貢献はどの程度なのだろう、ライブでは相当に干渉していたので。そんな感じは日本のニューオーダー。どこかで三田さんが関わることをアルバム発売前に読んだのだが、どの雑誌だったか…
http://www.myspace.com/deathoftheharleyandquin



5.『Diary Of An Afro Warrior』Benga

ダブステップならBengaが今年の音として聴けた。いい意味で水っぽさ艶っぽさがありストイシズムを感じさせない健全さがあって、クールなのに開いているメジャー感が頼もしかったりする。超未来のファンクって評価らしいのですが、なぜかプリンスを思わせました。Skreamよりぜんぜん好き。下品な使い方として女の子と見つめあう時に聴きたいBGMとかどうか。LPはまた曲が差し替えているらしいので聴きたいなぁ。
http://www.myspace.com/bengabeats



6.『Hercules And Love Affair』Hercules And Love Affair

ハウスで一枚。DFAだし、そそるジャケだったのでユニオンで購入でアタリ。DFAのパブリックイメージじゃなかったけれど、これは気分! エロカッコイイ、超黒人ゲイハウスとしか云えないクイァ感がムラムラがくるディスコテーク。極上の羽布団で緩く戯れる感じは、まさにヘラクレスのジャケ写の古代ギリシアの有閑貴族的世界観とシンクロする。被差別者的PCコードのうざい神経質政治から、なぜか解放されたかの様な快楽主義が心地いい極上ディスコ。DFAのティム・ゴールズワージがプロデュースということで間違いないのです多分。
http://www.myspace.com/herculesandloveaffair



7.『Partie Traumatic』

ブラックVoの声が唄声がロバート・スミスにそっくりでそれだけで反則。バブルガムポップに今年の音色で味付け。80sなぴこぴこキラキラってな三十路過ぎて恥ずかしモードに無理に乗った自分的には、どこか不安ですね、この真剣な軽薄さって根拠はなんなのでしょうか。レーザーに蛍光色にスライド眼鏡に幾何学白黒ハイトーンにパステル人工色って風なグラフィックデザインの近年の流行にも沿った様な、エレポップなフェミニンな恋愛の歌にメンバーも白黒混成。特に日本盤おまけremixがますますフロア対応に作り直していてきゅんきゅんいい(自分おやじなのにキモイ)なんだかシングル買いもしたくなる。マスキュリンじゃなくてもいい感をCSS以降の近年の感じとして個人的に引き継いでいる。
http://www.myspace.com/blackkidsrock



8.『The Colourful Life』Cajun Dance Party

これからUKロック。育ちのいい(たぶん中産階級以上のクラシックの経験あり)おぼっちゃんおじょうちゃん達の高校生バンドの名門XLレーベルからのデビューアルバム。って階級情報を聞いてしまうと、腹立つよね非エリートのこちとら、でも音楽にエモーショナルがあるから許せてしまうのよ。歌詞は良くないが、それ以外の演奏、アレンジ(これはプロデューサーバーナード・バトラーか)、Voの感情表現、楽曲、キャラクターともレベル高し。それでいて若い初期衝動は過剰に溢れていて、 Teen Idlesや赤盤ビートルズに近い高潔なパンクを感じる。あとクラシックっぽいハーモニーがあるので好き嫌いがわかれるやも。PTA受けのいい品行方正なスミス、イギリスじゃ大ブレイクだったもよう。
http://www.myspace.com/cajundanceparty



9.『Kitty Daisy & LewisKitty Daisy & Lewis

姉弟妹のティーンネイジャー3ピースのアナクロニズムロッケンロールバンドのマニアック(3、40年代プレ・ロックンロール)古典カバーアレンジ集の1枚目。いやに閉塞的で後ろ向きな音楽環境だろうと思うが、それでもフレッシュを感じるのは何故か…そういや、ロック以前は、自作自演が基本なのはビートルズからだし、音楽楽団は学生の結成するものではなく芸能家業であり、アルバム時代になるまではロックンロールはいい曲はカバーが当たり前だったわけで。そう云った意味で彼女彼らはオーセンティックにミュージシャンですね。ルーツロック、ブルーズ、ロカビリー、ジャンプ、スイングを、でも2008年ですから。ホワイトストライプスの人は作曲家で凄みがありますが、こちらは天才な(もしくは小器用な)子供の演奏家という批判をかわせたうえ、ロック以前をいかに現代で再生させ続けられるのか、その行く末をみたい。
http://www.myspace.com/kittydaisyandlewis



10.『Antidotes』Foals

↓これはダミアン・ハーストをバカにしてる

最後にUKインディー・ロックの最良の部分かも。プロデューサーはデイヴィッド・シーテック(TVオン・ザ・レディオ)でアート・ダンス・パンクの王道いってる様な5人組。やたら踊れるし妙に変質的POPでなんか初期XTC? しかもしっかりパンクな捻くれ感を持ってる。
http://www.myspace.com/Foals